「うちは一般のお客様じゃなくて、企業さん相手の仕事なんですけど、看板って作る意味あるんでしょうか?」

お客様からこんなご相談を受けることがあります。個人のお客様に商品やサービスを提供するBtoC業態と違い、企業間取引が中心のBtoB業態では、看板の役割やデザインの考え方が違ってきます。

「うちは通行人が入ってくる商売じゃないから、看板は正直、あってもなくても」——そう考えていらっしゃるBtoB企業様は、実は少なくありません。ただ、看板を作った後で「思っていた以上に効果があった」というお声もよくいただきます。

 

今回は、私たちが可児市を拠点にBtoB企業の看板をお手伝いしてきた中で見えてきた、「BtoB看板の設計思想」を、実例を交えてお伝えします。

 

BtoBとBtoCで、看板の役割が違う

まず前提として、BtoB業態とBtoC業態では、看板に求める役割が根本的に違います。

 

BtoC(個人のお客様相手)の看板は、「通り過ぎる人を止めて、入店を促す」ためのツールです。飲食店・美容室・小売店等が、日々の通行人の中から一人でも多く来店してもらうために設計します。派手さ、目立ち、キャッチコピー——すべてが「一見の通行人にどう伝えるか」に振り切って設計されます。

 

一方、BtoB(企業のお客様相手)の看板は、「決定権者・関係者に信頼を伝える」ためのツールです。取引先が打ち合わせで来社したとき、求人応募者が会社を訪ねたとき、金融機関の担当者が会社の様子を見に来たとき——彼らが「この会社は信頼できそう」と感じるかどうかが、看板の勝負どころになります。

 

派手さより「格」、キャッチコピーより「実績・理念の可視化」。同じ看板でも、求められるトーンが真逆に近いのです。

 

SRC様の実例:会社理念を「海と帆船」で表現

可児市の電気工事会社・株式会社SRC様の壁面看板を製作したときのことです。SRC様は、地域の建設現場・住宅・商業施設等への電気工事を提供される、典型的なBtoB業態の会社です。

 

SRC様の会社理念は「Ship・・未知なるものへ挑戦し、舵をとる」。船が海を進むように、電気工事の技術で未知の課題に立ち向かい、社会を照らしていく——そんな想いが込められた素敵な理念でした。

看板のメインビジュアルには、夕暮れの海と、そこを進む1艘の帆船を採用。空のグラデーションから海面の輝きまで、写真の美しさをそのままインクジェット出力で看板に落とし込みました。屋外設置のため、色褪せを防ぐUV加工+アルミ枠で耐候性も確保しています。

 

なぜ電気工事の会社が「海と帆船」の看板なのか——通り過ぎる一見の人にとっては、少し謎に感じるかもしれません。でも、SRC様に打ち合わせに来社した取引先の担当者、電気工事の求人に応募する若い技術者、地域の商工会議所の関係者——彼らがこの看板を見たとき、「Ship」という理念と「未知なるものへ挑戦」というメッセージが自然に伝わります。BtoB看板は、「分かる人には深く伝わる」というトーンで設計するのが正解に近いのです。

 

BtoB看板の設計ポイント3つ

BtoB企業の看板を設計するとき、私たちが意識している3つのポイントがあります。

 

一つ目、実績・年数の明示。BtoB取引では、初対面の相手に「うちは長年やっている、信頼できる会社です」を伝える必要があります。「創業◯年」「取引実績◯社」「対応工事件数◯件」等、数字で語れる要素を看板に載せる価値があります。

 

二つ目、会社理念・企業姿勢の可視化。BtoBの意思決定者は、「値段の安さ」だけで業者を選ぶことは少なく、「この会社の考え方に共感できるか」を見ています。理念を看板で可視化することは、「うちはこういう価値観で仕事をしている」という宣言になります。

 

三つ目、対応領域の明確化。「電気工事」だけでなく、「工場・商業施設の電気設備」「太陽光発電システム」「LED照明工事」等、対応領域を具体的に列挙することで、取引先が「うちの案件、頼めそう」と判断しやすくなります。

 

「BtoBだから看板いらない」わけではない

冒頭のお客様のように、「うちはBtoBだから看板は要らない」と考えるBtoB企業様は少なくありません。でも、実際に看板をつくった後で、想定外の効き方をするケースを何度も見てきました。

 

例えば、求人応募者への訴求。今の若い世代は、応募前にその会社のGoogle Mapを見て、外観・雰囲気を確認する方が増えています。看板が古びていたり、そもそも看板がない会社だと、「本当にここで働いていいのかな」という不安が生まれます。逆に、理念や実績が明示された看板があれば、応募前の印象で信頼を積み上げられます。

 

もう一つが、既存取引先の再確認効果。何年も付き合いのある取引先でも、「うちはこういう会社です」という理念を看板で伝え続けることで、担当者が変わっても関係性が維持しやすくなります。取引先の新担当者が初めて挨拶に来たとき、看板が「言わずに語る」役割を果たしてくれます。

 

そして、従業員の帰属意識への影響。毎日出社する社員が、玄関で自社の理念看板を目にすることで、「自分はここで働いている」という誇りや自覚が育ちます。看板は、社外向けだけでなく、社内向けの「会社らしさの装置」でもあります。

 

BtoB看板の効き方は「測定しづらい」けど、確かに効いている

BtoC看板は「通行人が入店した数」で効果測定しやすい世界ですが、BtoB看板は効果が数値化しづらい世界です。「あの取引先が発注を決めた理由に、看板が影響したかどうか」なんて、正確に測れません。

 

でも、看板をリニューアルした後、「取引先の第一印象が変わった気がする」「求人応募者の質が変わった」「社員の言葉に自社への誇りが増えた」等のお声を、何度もいただいてきました。数値化できない部分だからこそ、「取引先・応募者・社員」という3層に届く設計が、BtoB看板では効いてくるのだと感じます。

 

締めに

冒頭のお客様には、「BtoB看板は、通行人ではなく取引先・応募者・社員という3層に届く設計を目指しましょう」とお伝えしました。派手さより格、キャッチコピーより実績と理念——設計の方向性が定まってから、看板デザインを議論するほうが、結果的にBtoB企業らしい仕上がりになります。

 

BtoB企業様が看板を検討するとき、参考にしていただきたいのは、「うちの取引先・応募者・社員が、この看板を見てどう感じるか」を想像することです。BtoC看板の設計思想をそのまま持ち込むと、逆に安っぽい印象になってしまうこともあります。

 

会社の看板をBtoB視点でリニューアルしたい、あるいは新設したいとお考えの方は、岐阜県可児市のかんばん製作のワンズにお気軽にご相談ください。取引先・応募者・社員という3層に届く設計を、一緒に組み立てます。