「うちの店の看板、キャッチコピーみたいなの、入れたほうがいいですかね?」

 

新しくお店を開かれる予定のお客様から、こんなご相談を受けることがあります。看板を発注する段階で、屋号は決まっている。ロゴもある。ただ、「もう一言、何か添えたほうがいいのか」——迷っていらっしゃるとのこと。

 

キャッチコピーは、看板に載せるかどうか、載せるならどう考えるか——これは正解が一つではない領域です。「入れないほうがいい看板」もあれば、「入れないと勝負にならない看板」もあります。今回は、私たちが可児市を拠点に看板を作ってきた中で見えてきた、「看板のキャッチコピー」という判断について、現場感覚をお伝えします。

 

キャッチコピーは、3秒で読ませる

まず、大前提です。看板を通り過ぎる人が、その内容を読むのにかけている時間は、多くの場合3秒以内です。歩行者ならまだしも、車のドライバーなら1秒あるかどうか。

 

つまり、看板に載せるキャッチコピーは「3秒で理解できるかどうか」で勝負が決まります。5秒かかる文章、10秒かかる文章は、載せる意味がほぼありません。読まれる前に通り過ぎるからです。

 

長いフレーズを載せたい気持ちは分かります。でも、看板は名刺やパンフレットとは違う媒体。「短くする勇気」が、キャッチコピー選びの一番のスキルかもしれません。

 

実例:「プロに選ばれる外壁塗装専門店」というキャッチ

先日、可児市の外壁塗装専門店・株式会社ロント様の看板一式リニューアルをお手伝いしたときの話です。

 

ロント様の野立看板・倉庫上L字看板には、「プロに選ばれる外壁塗装専門店」というキャッチコピーが入っています。このコピーは、実はデザイン打ち合わせの初期段階から、ロント様と私たちの間で何度もやり取りして選ばれたものです。

 

最初、ご検討いただいたのは「地域No.1の塗装店」「創業◯年の実績」といった、実績を訴える系のキャッチでした。でも打ち合わせの中で、ロント様が目指されている「プロショップ」というブランドコンセプトを、もう一歩踏み込んで表現したい——という話になりました。

 

そこで浮かんだのが「プロに選ばれる」というフレーズ。塗装業界の中で、他の職人が「あそこは技術がある」と評価する店、という意味合いです。実績で語るのではなく、「業界内の評価」を語る。これが、「プロショップ」というブランドイメージと綺麗に噛み合いました。

 

このキャッチコピーが決まった瞬間から、ベースの背景色(大理石調のダークカラー)も、ロゴ配置も、フォント選びも、すべてが「プロショップらしさ」の方向に自然と収束していきました。キャッチコピーは、デザイン全体の方向性を決める羅針盤でもあるのです。

 

「キャッチコピーで語る」vs「屋号で語る」

一方で、キャッチコピーを入れない、または最小限にする選択もあります。

 

可児市のメンズ脱毛サロン・毛抜き屋様の看板を製作したときのことです。看板の主題は「毛抜き屋」という屋号だけ。副題として「メンズ脱毛/メンズビューティー」を小さく添える構成でした。

 

余計なキャッチコピーは入れていません。屋号の「毛抜き屋」という短い名前と、副題の業種説明だけで、店の存在感が完結する設計になりました。

 

これは、屋号自体に強い個性がある場合の選択です。「毛抜き屋」という名前が、それだけでインパクトと業種イメージを両方持っている。ここに「毛を優しく丁寧に」「あなたのビューティーライフに」といったキャッチを追加すると、むしろ屋号の力を弱めてしまいます。

 

屋号が語れる看板は、キャッチコピーを削るほうが強くなることがある。これは現場でよく感じるところです。

 

キャッチコピーを組み立てる3つの型

キャッチコピーを入れる方針で行く場合、私たちがよく提案するのは以下の3つの型です。

 

一つ目、「誰に選ばれるか」型。ロント様の「プロに選ばれる外壁塗装専門店」がこの型です。「誰から選ばれているか」を明示することで、信頼と特化性を同時に伝えます。「地域のお母さんに選ばれる」「近所の職人に選ばれる」等、業種や客層に合わせて設計できます。

 

二つ目、「何を届けるか」型。「街のあかりを届けます」「暮らしを守る家づくり」といった、事業の意義や目指す未来を感情に訴える言葉で表現する型。詩的な言葉で理念を伝えるアプローチです。企業理念や社会性を打ち出したい業態と相性が良い設計です。

 

三つ目、「何をしないか」型。「一切の妥協なし」「無理な営業はいたしません」「安売りはしません」等、あえて否定形で自社のスタンスを明示するアプローチ。強い印象を残したい業種で機能します。ただし、否定形は読み手の印象を選びやすいため、慎重な検討が求められます。

 

どの型を選ぶかは、業種・客層・立地・お店の哲学によって変わります。正解が一つではないからこそ、看板発注の打ち合わせで一番時間をかけたい部分です。

 

現場でよくある失敗パターン

最後に、私たちが看板打ち合わせでよく見かける「キャッチコピー選びの失敗パターン」を、いくつかお伝えします。

 

業種名を並べただけ。「◯◯業 △△業 ✕✕業」といったキーワードの羅列は、看板ではなく検索結果画面のような読み方になってしまい、印象に残りません。

 

長すぎる文章。3秒で読めない長さのキャッチは、そもそも読まれません。20文字を超えたら、「切れないか」を再検討する価値があります。

 

抽象度が高すぎる。「お客様第一」「最高の技術」といった、どの業種でも使えるフレーズは、逆に「どこにでもある店」に見えてしまいます。自社ならではの具体性を含めるほうが強くなります。

 

業界用語ばかり。専門家同士なら通じる用語も、通り過ぎる人には意味不明。看板は「業界外の人が読む」前提で選びます。

 

締めに

冒頭のお客様には、「屋号自体に個性があるので、キャッチコピーは最小限に絞りましょう」とお伝えしました。看板に載せるのは、業種と、営業時間だけ。あとは屋号のインパクトで語らせる設計に落ち着きました。開店後、お客様の反応も上々だとお聞きしています。

 

看板のキャッチコピーは、載せるかどうかから、載せるならどう組み立てるか、まで、正解のない領域です。だからこそ、看板業者との打ち合わせで、時間をかけて相談する価値があります。

 

看板の発注をお考えの方、キャッチコピーで悩んでいる方、まずは岐阜県可児市のかんばん製作のワンズにご相談ください。お店の哲学や目指す方向性を伺いながら、「そのお店にしか使えないキャッチコピー」を一緒に組み立てます。