先日、可児市のあるお客様から「うちの看板、そろそろ寿命ですかね?」というご相談をいただきました。

見に行くと、店舗ファサードの壁面看板。設置してからおよそ15年。もともとは鮮やかな赤と紺のツートンだったはずのその看板は、赤い部分がピンクに近い色に薄れ、紺の部分は少し灰色がかっていました。「まだ壊れてはいないけど、なんとなくくたびれた印象で、お客様の目にはどう映っているのかなと」——お客様のその言葉が、この記事を書こうと思ったきっかけでした。

看板の「色褪せ」は、寿命そのものではありません。でも、看板を通じてお店の印象を届けている以上、色が褪せていることは、お客様に届けたい印象が薄れていることでもあります。

 

この記事では、私たちが可児市を拠点に岐阜県内の看板製作・リニューアルを手がけてきた中で見てきた、「色褪せ」の実際と、それを遅らせるための工夫、そして「そろそろ替え時」の判断基準を、現場での経験から書いていきます。

 

「色褪せ」って、実は3つの現象が同時に起きている

まず前提として、看板の「色褪せ」と一言で呼んでいる現象は、実は複数の物理的な変化が同時に進んでいます。現場で15年経った看板に触れると、その理由が納得できます。

 

一つ目は、紫外線による色素の分解。太陽光に含まれる紫外線が、看板の表面インクや塗料の色素分子を分解します。特に赤・オレンジ・黄色系は分解が早く、青・緑・黒は比較的長持ちします。冒頭のお客様の看板で赤が真っ先に褪せていたのは、これが理由です。

 

二つ目は、雨と温度差による表面材の劣化。インクジェット出力の看板であれば、表面のフィルムやコーティング材が、雨風と昼夜の温度差で少しずつ縮んだり反ったりします。この物理的な変化が、色素の見え方をさらに変えていきます。

 

三つ目は、汚れの蓄積。車の排気、花粉、砂ぼこり、鳥のフンなどが表面に付着し、透明感を失わせます。「色が薄くなった」と感じている現象の一部は、実は「汚れで色が濁った」ことも含んでいます。定期清掃で色の印象が5〜10%くらい戻ることは、意外とよくあります。

 

つまり、色褪せ対策とは「紫外線対策+素材の耐候性向上+定期清掃」の3層構造なんです。

 

色褪せを遅らせる、現場での工夫

私たちが看板を製作するとき、色褪せを最初から想定して素材と加工を選びます。特にお客様が「長く使いたい」と希望される場合、次のような工夫を組み合わせています。

 

UV加工(紫外線カットラミネート)

インクジェット出力の看板に、透明の紫外線カットフィルムを重ねる加工です。以前、可児市の電気工事会社様(株式会社SRC様)の壁面看板を製作したときのことです。夕暮れの海に浮かぶ帆船をあしらった、写真ベースの美しい看板でした。「空や海の写真は、紫外線でどうしても褪せやすい」——お客様にお伝えしたところ、UV加工の追加をご希望いただきました。追加費用は数万円でしたが、屋外での耐久年数が体感で2〜3年は延びる印象があります。

 

アルミ枠・アルミ複合板の採用

表面材だけでなく、下地の素材選びも色褪せの体感に影響します。プラスチック系の下地は経年で反りや変形が出やすく、それが表面材の劣化を早める原因になります。アルミ複合板は変形しにくく、看板全体の見え方を長期に保ちやすい素材です。SRC様の看板でも、アルミ枠を回すことで経年での剥がれや歪みを抑える構造にしました。

 

色そのものの選び方

これは実は現場感でしかお伝えできない話なのですが、「褪せにくい色」を意図的に選ぶという判断もあります。冒頭のお客様の赤×紺のツートンでは、赤の劣化が目立ちました。もし発注時点で赤の代わりに濃いえんじ色を選んでいれば、10年後の見え方はかなり違っていたはずです。とはいえ、「見せたい印象」と「褪せにくさ」はトレードオフなので、正解は一つではありません。

 

余談:ブラックの選び方

先日、可児市の外壁塗装専門店様(株式会社ロント様)の看板一式をリニューアルしたときの話です。ベース色を約10パターン提案する中で、「単純なブラックではなく、大理石調の質感を取り入れたダークカラー」を採用しました。これは色褪せ対策の話ではなく、ブランドイメージの話なのですが、実はダーク系の色は褪せ方が比較的目立ちにくいという副次的な性質もあります。「ただの黒」と「大理石調ダーク」では、10年後の見え方の差はそれほど大きくないという意味では、ダークベースは長期使用と相性が良い選択でもあります。

 

★ミニコラム:よくある勘違い

現場でお客様とお話ししていると、色褪せについて次のような勘違いを聞くことがあります。

 

「電飾看板は色褪せない」——実は褪せます。LEDや蛍光灯の光は紫外線含有量が少ないので内側からの劣化は少ないのですが、外側の面板は太陽光にさらされているので、通常の看板と同じように色褪せが進みます。

 

「色褪せたら、上から色を塗ればいい」——素材によっては可能ですが、インクジェット出力の看板を塗装で復旧すると、下地と塗料の相性で剥がれや浮きが出やすく、逆に見た目が悪くなります。塗装補修は木製看板やアルミ看板のように、もともと塗装で仕上げていた素材に限る判断が現実的です。

 

「屋根の下だから色褪せない」——屋根の下でも、反射光や散乱光の紫外線を浴びます。直射日光の場合の6〜7割程度は劣化が進むイメージで、色褪せは避けられません。

 

 

それでも褪せてきたら、いつ替えるか

色褪せた看板を、いつ替えるか——これは一番聞かれる質問で、一番答えにくい質問でもあります。「まだ読める」「ぱっと見はまだ大丈夫」でも、印象が劣化していることはあるからです。

 

判断の目安その1:写真で撮って、10年前と比べる

お店の外観写真がお手元にあれば、当時と今を並べて見るのが一番わかりやすいです。「あれ、こんなに褪せていたのか」と気づかれることがよくあります。写真で並べた時の差が大きければ、通行人にも同じくらい大きく見えていると考えていい。

 

判断の目安その2:新規顧客の反応

リピート客は看板の劣化に慣れていて気にしません。でも新規顧客は初対面の印象で判断します。「新規のお問い合わせが減った気がする」というタイミングは、看板の見た目が届いていない可能性があります。

 

判断の目安その3:季節イベント・周年のタイミングを活用

突然「今月替えます」ではなく、次のリニューアルは3か月後、6か月後の周年キャンペーンに合わせて計画的に、と考えるとお客様の負担感が減ります。ちょうど良い節目に合わせて、色を刷新するというのが、実は一番スムーズな替え時です。

 

締めに

可児市のお客様の看板は、結局、翌月にリニューアルさせていただきました。新しい看板は、同じ赤と紺のツートンですが、UV加工を追加し、アルミ複合板の下地に変更しました。10年後、この看板を見に行くのが今から楽しみです。

 

看板は、作った日から少しずつ、確実に褪せていきます。それは物理現象で、避けられません。でも、素材の選び方と加工の工夫で「褪せるまでの時間」は倍近く変わりますし、褪せてきたときの判断も、写真での比較や新規顧客の反応で見極められます。

 

看板の色褪せが気になり始めた方は、まずは10年前の写真を探してみてください。そして、必要そうなら、私たちのような看板屋に一度ご相談ください。長く使うための素材選びも、そろそろ替え時の判断も、現場での経験に基づいてお答えします。

 

看板のことなら、岐阜県可児市のかんばん製作のワンズにお気軽にご相談ください。