開業などに伴い、看板の制作を決めたら「すぐに業者に依頼しないと」と焦るかもしれません。しかし、事前に看板の種類や特徴、費用の相場などを調べておくことも大切です。スムーズに打ち合わせが進みますし、悪徳業者とのトラブルを回避することにも繋がります。この記事では、看板業者に制作を依頼する前に知っておきたいポイントについて解説します。
◇自分に合った看板の種類を知ろう(立て看板・壁面看板・自立型など)
一口に「看板」と言ってもその種類は様々です。全く構想がないまま打ち合わせに臨んでも大丈夫ではありますが、できれば自身の店舗にはどの看板を設置したいのか、事前に考えておきましょう。ここでは、看板の種類と、どのような店舗に適しているのかをご紹介します。
看板選びの重要性:なぜ種類を考えるべきか?
看板は「お店の顔」であり、集客やビジネスのブランディングに直結する重要な媒体です。種類を誤ると、せっかくのデザインが目立たなかったり、ブランドイメージにとって悪影響になったりするケースもあります。立地条件やお店のコンセプトに合わせた看板を選ぶことで、効果的にアピールしましょう。
主要な看板の種類と特徴
下記に代表的な看板の種類を紹介します。特徴を確認して、最適なものを選びましょう。複数を組み合わせることも多いです。
・立て看板(ポールサイン)
「看板」というものを想像したときに真っ先に思い浮かぶ種類でしょう。道路沿いに設置する縦長の看板です。遠くからでも目立ち、車や歩行者へのアピールに最適です。飲食店やコンビニで多く採用されています。ただし、設置には土地の広さや自治体の規制を確認することが必要です。
・壁面看板(ウォールサイン)
建物の壁に直接取り付けるタイプ。省スペースでコストを抑えられ、店舗の外観と一体化したデザインが可能な看板です。カフェやブティックなど、街並みに溶け込んだお店にしたい場合におすすめです。
・自立型看板(モニュメントサイン)
地面に自立する頑丈な看板です。高級感があり、商業施設やオフィスビル、「○○クリニック」など医療施設の入口によく使われます。耐久性が高い反面、設置費用がやや高めな点が特徴として挙げられます。
お店の立地・業種別に最適な看板を選ぶポイント
- 人通りの多い道路沿い:立て看板で遠くから認知させるのが一般的です。
- 住宅街や狭い路地:壁面看板で省スペースに抑えつつ親近感を演出できます。
- ショッピングモール内:自立型看板で他店との差別化を図ると良いでしょう。
- 飲食店:メニューや雰囲気を伝える「のれん」や「サインボード」も併用できます。
業種によっては「デジタルサイネージ」を活用する選択肢も増えています。
予算とメンテナンスから考える看板選びのバランス
初期費用だけでなく、長期的なメンテナンスコストも考慮しておくことで、後悔する可能性を減らせます。
- 立て看板:屋外で長く利用するので、風雨に強い素材選びが必須です。
- 壁面看板:店舗の印象に大きく影響するため、定期的な清掃や塗装の補修が必要です。
- 自立型看板:照明機能付きのものが多いですが、電気代が発生します。
予算が限られる場合は、シンプルな壁面看板から始め、集客効果を検証しながら段階的に追加していく方法も有効です。
◇費用の相場と見積書の見方を押さえておこう
初めて看板製作をする方にとって、必要となる費用は不安の種でしょう。看板費用は「デザイン・製作・設置」の内訳を理解し、見積書の細部までチェックすることで、トラブルを回避できます。複数社に見積もりを依頼して比較したり専門家へ相談したりすることが、失敗しない看板選びの鍵です。ここでは、費用の相場や見積書の確認方法についてご紹介します。
看板費用の相場:種類・サイズ別の目安
看板の費用は種類やサイズ、素材によって千差万別です。以下はあくまで目安ですが、主要な看板の相場例です:
看板の種類 | 相場(税抜き) | 特徴 |
壁面看板 | 15,000円〜100万円 | サイズに加え、外照式(15,000円〜)や内照式(100,000円〜)など照明タイプでも変動。 |
自立看板 | 20,000円〜45万円 | 設置場所の広さや素材(アルミ・鉄骨)で価格差が発生。 |
袖看板 | 50,000円〜20万円 | 高所作業が必要な場合は費用が加算。 |
電飾看板(LED) | 50,000円〜30万円 | 耐久性が高く視認性も良いが、初期費用は高め。 |
デジタルサイネージ | 10万円〜300万円 | 屋内用は10万円〜、屋外用は50万円〜と規模や機能によって幅広い。 |
※特殊成形看板や屋上広告塔などは100万円以上かかるケースもあります。
看板費用の内訳(デザイン・製作・設置)
看板製作はコストがかさむこともあるので、「何にそんなにお金がかかるんだろう」と疑問に思うことがあるかもしれません。看板費用は主に以下の3つの要素で構成されます:
(1)デザイン費
- 相場:3,000円〜10万円程度
- シンプルな文字入れ:3,000円〜
- 写真加工・複雑なレイアウト:25,000円〜
- デザイン会社によっては無料の場合も(品質には注意)。
(2)製作費
- 素材別の目安:
- アクリル板:20,000円〜/㎡
- アルミ複合板:15,000円〜/㎡
- LED照明:通常の2倍程度のコストに。
(3)設置費
- 基本施工費:33,000円〜(職人1人あたり半日12,000円〜)
- 追加費用例:
- 高所作業車:25,000円〜
- 道路使用許可申請:25,000円〜
- 電気工事費:3,000円〜。
見積書の正しい読み方とチェックポイント
「プロに任せたのだから大丈夫」と確認を怠ってはいけません。見積書は「費用の透明性」と「トラブル防止」のため、詳細に確認しましょう。以下のチェックポイントを意識してみて下さい。
(1)必須項目の確認
- 有効期限:見積書に有効期限の記載がない場合は「発行日より1ヶ月~半年程度」が目安。「有効期限:2025年7月1日」のような記載がないかチェックしましょう。
- 内訳明記:デザイン費・素材費・人件費がしっかりと分離されているか。
- 諸経費:運搬費・廃材処分費・警備員費用負担の有無。
(2)隠れたコストに注意
- 行政申請費:屋外広告物の許可申請代行(30,000円〜)が含まれる場合があります。
- 修正費:デザイン変更時の追加料金(回数制限の有無を確認)も、会社によって発生します。
(3)比較のポイント
- 複数社から相見積もりを取得し、単価・作業範囲・保証内容を比較すると透明性が高まります。
◇納品までのスケジュール感を把握する
看板の種類はさまざまですが、いずれにしても依頼してすぐに完成というわけにはいきません。納品までには1か月以上かかる場合もあるので、開業などに合わせて設置する場合は、事前にしっかりと計画を立てておく必要があります。ここでは、看板の納品までのスケジュールの目安をご紹介します。
看板製作の標準的な納品スケジュール
看板の納品までには平均 1〜12週間 を要します。下記は一例として大型の看板の場合になります。業種・規模別の目安を工程ごとに分解しました:
工程 | 期間の目安 | 詳細 |
デザイン確定 | 1〜2週間 | 修正回数や承認プロセスによって変動。修正が増えるほど長くなります。 |
行政申請 | 2〜4週間 | 屋外広告物審査が必要な場合(自治体の混雑状況次第で時間がかかることも)。 |
資材調達 | 1〜3週間 | 特殊素材(防汚コーティング板など)は輸入品だと追加で時間がかかることがあります。 |
製作・加工 | 2〜6週間 | 電飾看板は配線検査、大型看板は溶接工程で期間が追加されます。 |
設置施工 | 1〜7日 | 天候や道路使用許可の取得状況に依存します(雨天で数週間延期の事例あり)。 |
緊急納品やスケジュール短縮の方法
短期間での看板製作・設置を実現するには、条件の明確化、工程の効率化、適切な業者選びが不可欠です。以下に具体的なポイントを紹介します。
(1)「2週間納品」を実現するには
通常、看板製作にはデザインから設置まで1〜2ヶ月程度かかりますが、以下の条件が揃えば2週間での納品が可能です。
- デザインの事前製作:デザインの修正や再提案の時間を省くため、事前に最終デザインを確定させておくこともできます。
- 既存看板の再利用:空き店舗の活用など、既存の看板フレームや構造を活用する場合、製作時間が大幅に短縮されます。
- 追加費用による対応:緊急対応として通常価格の+30%〜50%を払い、深夜作業や特急資材調達を実施できる可能性があります。見積もり時に確認してみましょう。
(2)工程の並行処理テクニック
短納期を実現するには、複数の工程を同時に進める「並行処理」が効果的です。以下は具体的なテクニックです。
- デザイン修正中と資材発注:デザインの微調整が進行中でも、看板のサイズや素材が確定していれば資材の発注を始められます。
- 基礎工事を製作期間中に実施:看板の製作と並行して、設置場所の準備(例:コンクリート基礎の工事や壁面の補強)を進めることで、製作完了後すぐに設置が可能になります。
(3)業者選びのポイント
短納期を実現するには、信頼できる業者を選ぶことが何よりも重要です。以下のポイントを参考にしてください。
- 「緊急対応可能」な看板専門店を選定:ウェブサイトやパンフレットで「特急対応」「短納期対応」をアピールしている業者は、短期施工のノウハウを持っていると言えます。
- 自社工場を保有する業者:自社で製作から設置まで一貫して対応できる業者もいます。遅延リスクが少なく、スケジュール管理がスムーズに進みます。
- 過去の実績や口コミ:業者のウェブサイトやGoogle口コミ、SNS(例:X)で、短納期の実績や顧客の評価を確認しましょう。初心者は特に、対応の早さや丁寧さを重視すると失敗が少ないです。
◇まとめ
お店にとって大切な看板。製作にあたって不安も多いと思いますが、事前に知識を身につけておくことで後悔の可能性を減らせるはずです。看板の種類や必要なコスト、スケジュール感を把握して業者に相談することで、より質の高い看板製作を目指して下さい。岐阜県内や可児市での看板製作でお力になれそうでしたら、お気軽にお問い合わせください。