
2026年7月末、熊本県で震度7の地震が発生し、九州各地に大きな影響を及ぼしました。こうした災害の記憶が新しいうちに、店舗経営者や施設管理者が改めて見直したいのが「災害時に看板がどう機能するか」という視点です。看板は普段は集客のツールですが、災害発生時には避難誘導・情報伝達・安全確保に関わる社会インフラの一部でもあります。この記事では、まず看板そのものを凶器化させない耐震・耐風構造、次に発災時に避難を導く避難サインの設計原則、そして震災後の混乱期に地域を支える災害時情報伝達の3点を、予防→対応→回復の順序に沿って、岐阜県の地域特性(濃尾平野の活断層帯、山間部の土砂災害リスク、大河川の洪水想定)も踏まえて解説します。9月1日「防災の日」を前に、店舗の看板を防災視点で見直したい経営者・施設管理者の方の判断材料になる内容です。
◇耐震・耐風性能を持つ看板構造
防災対策の出発点は、看板そのものが災害時に凶器にならない設計を確保することです。避難サインや情報伝達より前に、まず自店の看板が周囲に危害を及ぼさない状態を作ることが、店舗の社会的責任として意識される時代です。
◎地震対策の基本
看板の落下事故は、通行人の負傷や物損につながる可能性があります。
* 定期点検の実施:
取付金具の緩み・錆・下地劣化を年1回チェックします。
* 屋外広告物条例の遵守:
岐阜県屋外広告物条例に基づく安全基準を守る設計とします。
* 老朽看板の更新判断:
設置から20年以上の看板は構造点検を行い、更新可否を判断します。
◎耐風設計の目安
台風や強風時の破損リスクを下げるための構造設計です。
* 風圧計算に基づく取付:
建築基準法・国土交通省告示に沿った風荷重計算を行います。
* 補強金具の追加:
既存看板の場合、後付けの補強金具で耐風性能を上げられます。
* 一時撤去可能な設計:
台風接近時に取り外せるスタンド看板を選ぶ選択肢もあります。
◎岐阜の地域特性への対応
岐阜県は東西南北で災害リスクが異なる地域特性を持ちます。
* 濃尾平野南部:
養老断層帯など活断層の影響で、地震対策が特に求められます。
* 飛騨・美濃山間部:
土砂災害・豪雪への配慮が求められる地域です。
* 大河川流域:
木曽川・長良川・揖斐川流域は洪水浸水想定への対応が求められます。

◇避難サインと誘導看板の設計原則
自店の看板が安全な状態になったら、次は災害が発生したときの避難誘導を想定しましょう。普段の集客看板とは違う設計基準が求められ、国際規格と国内ガイドラインに沿った設計が基本です。
◎JIS Z 9098(災害種別図記号)の活用
災害別・避難所別の標準ピクトグラムが定められており、これを使うと国内外の来訪者にも一目で伝わります。
* 洪水・内水氾濫:
波形のピクトグラム+青系配色で表現します。
* 土砂災害:
斜面と落石のピクトグラム+茶系配色で警告を示します。
* 地震・津波:
揺れる建物や高波のピクトグラムで発生種別を伝えます。
* 火災:
炎のピクトグラム+赤系配色で緊急性を表現します。
◎避難場所と避難所の使い分け
「避難場所」と「避難所」は法律上の位置づけが違い、看板表記も明確に分ける必要があります。
* 避難場所(緊急避難場所):
災害発生時の一時退避先で、屋外の広場・高台などが指定されます。
* 避難所(指定避難所):
中長期の滞在先で、学校体育館・公民館などが指定されます。
* 併設施設の場合:
両方の役割を持つ施設は、両方の記号を併記します。
◎夜間・停電時の視認性
災害時は停電で街灯が消えることも多いため、外部電源に頼らない設計が求められます。
* 蓄光式サイン:
昼間の光を蓄えて夜間に発光、電源不要で数時間程度光り続けます。
* 反射素材の活用:
懐中電灯やヘッドライトの光を反射し、遠方から判読可能な素材を選びます。
* ソーラー電源のLEDサイン:
昼間充電し夜間点灯するタイプで、停電にも耐える設計です。
◇災害時の店舗情報伝達
発災の混乱期を過ぎたら、次は復旧期の情報発信です。店舗経営者が発信する情報は、看板を介して地域住民の生活を支える手がかりになります。
◎営業状況の掲示
震災後の混乱期には、営業しているかどうかの情報が周辺住民の生活を支えます。
* 営業中/臨時休業のプレート:
シンプルな文字+色分けで一目で伝えます。
* 手書き対応のホワイトボード:
状況変化に応じて即時更新できる設備を用意します。
* 復旧予定日の告知:
「○月○日再開予定」等の目安を掲示し、地域住民の見通しを支えます。
◎地域貢献の掲示
店舗が持つ設備や在庫を、災害時に地域へ開放する店舗も増えています。
* 給水拠点・トイレ提供:
飲料水や店舗トイレの開放を看板で告知します。
* 充電スペースの提供:
スマホ充電コーナーを設置している旨を掲示します。
* 情報掲示板の設置:
行政発信の情報を紙で貼り出す掲示スペースを設けます。
◎多言語での災害情報伝達
訪日外国人客や在住外国人にも情報が届く仕組みが求められます。
* やさしい日本語+英語併記:
漢字を減らし、短文で伝える工夫を優先します。
* ピクトグラム主体の掲示:
言語に依存しない情報伝達を優先します。
* QRコード連動の多言語ページ:
詳細情報は自国語で読める仕組みへ誘導します。
◇まとめ
看板は普段の集客ツールであると同時に、災害時には地域社会の安全と情報伝達を支える存在です。①看板構造は定期点検と地域特性に応じた耐震・耐風設計で凶器化を防ぐ、②避難サインは国際規格(JIS Z 9098)と停電時視認性を意識、③災害時の店舗情報伝達は営業状況・地域貢献・多言語対応の3方向——この予防→対応→回復の3段階を平時に整えておくと、災害発生時に慌てず対応できます。2026年7月末の熊本県での震度7地震も含め、災害の記憶が新しいうちに看板の防災視点を見直すことは、店舗運営者としての社会的責任の一つの表れです。9月1日の防災の日を、店舗看板の見直しの節目として活用してみてはいかがでしょうか。
店舗看板の防災点検、避難サインの新設・追加設置をご検討中の方は、岐阜県可児市のかんばん製作のワンズにお気軽にご相談ください。現地調査から耐震・耐風性能の確認、蓄光式サインの導入、多言語対応まで、地域の安全と店舗経営の両立をサポートします。






