看板の多くは屋外に長期間設置されるものです。風雨や日差しに晒されるほか、地域によっては降雪なども看板にダメージを与えます。そのため、看板の効果を維持するためには、地域特性に合わせた耐候性を備える必要があります。この記事では、岐阜県内の皆様に向け、県内で適した看板素材の選び方について解説します。

 

◇強風・積雪・猛暑—岐阜特有の気象リスク整理

岐阜県で看板の設置を検討されるのであれば、その気候の厳しさを十分に理解する必要があります。強風、積雪、猛暑…これらの気象リスクは、看板の耐久性と寿命に直接的な影響を与えます。ここでは、岐阜県特有の気象条件を整理し、適切な看板素材選びの基礎知識を提供します。

 

◎猛烈な暑さと高温リスク

岐阜県、特に美濃地方の夏季は非常に厳しい暑さで有名ですよね。最高気温は35℃を超える猛暑日が多いですし、多治見市では40℃を観測することもあります。

このような高温環境は看板素材に多大なストレスを与えるものです。特にプラスチック素材は紫外線と熱による劣化が進みやすく、色褪せや変形の原因にも。また、金属素材であっても熱膨張による歪みが生じる可能性があり、これらの熱リスクを考慮した素材選定が不可欠です。

 

◎冬季の積雪と荷重リスク

岐阜県内、特に飛騨地方などの山間部では、冬季に猛烈な積雪が見られます。2025年2月には、最強寒波の影響で、積雪が2メートルを超える地域もありました。

多量の積雪は看板に想定以上の負荷をかけ、支持部の破損を引き起こす要因となります。さらに、雪の重みに加えて「表層なだれ」のリスクも考慮すべきです。急激な雪の移動が看板を直撃する可能性も。看板を設置する地域の平均積雪量や雪質を事前にリサーチし、それに見合った構造強度を持つ看板素材を選定することが重要です。

 

◎突風と強風リスク

岐阜県では季節の変わり目を中心に、突風の発生が報告されるケースもあります。2025年には岐阜市で突風が発生し、推定風速約35メートルの勢力で住宅の屋根瓦や倉庫の屋根に被害が出ました。

当然ですが強風や突風は、看板の脱落や破損の直接的な原因となります。看板の受ける風圧は風速の二乗に比例して大きくなるので、瞬間的な強風にも耐えられるような適切な固定方法と素材強度が求められます。特に平面積が大きくなるほど風の影響を受けやすいため、注意が必要です。

 

 

◇フレーム・基礎・アンカーの耐風設計ポイント

季節の変わり目の突風や台風のような気象リスクに対応するためには、看板の各部における耐風設計が不可欠です。特にフレーム(骨組)、基礎(土台)、アンカー(固定具)の三点が、強風に強い看板づくりの重要な要素です。ここでは、これら各部の適切な設計ポイントを詳しく解説します。

 

◎フレームの耐風設計-風圧分散と構造強化

看板フレームの設計においては、風圧を効果的に分散する構造が求められます。平面看板よりも風通しの良いメッシュ構造やトラス構造を採用すると、風の抵抗を軽減できます。瞬間風速35m/s以上の強風に耐えるためには、補強リブの追加対角ブレースの設置が有効となります。

素材選定も重要で、強度と耐久性のバランスが取れた溶融亜鉛めっき鋼材アルミニウム合金が推奨されます。接合部には溶接に加えてボルト補強を施すことで、破損しがちな継ぎ目部分の強度不足を補いましょう。フレームの厚みやサイズは看板の面積に比例して大きくする必要があり、面積が2倍になれば風圧は4倍になることを考慮した設計が不可欠です。

 

◎基礎の設計-地盤調査とコンクリート基礎

看板基礎は、フレームから伝わる風圧を地盤へと逃がす役割を担います。大型看板の場合、最初に実施すべきは詳細な地盤調査です。岐阜県内でも地域によって地盤強度は異なり、軟弱地盤では深基礎や地盤改良が必要となる場合があります。

コンクリート基礎の設計では、根入れ深さの確保がポイントです。一般的な目安として、基礎の深さは看板高さの1/5以上が推奨されます。コンクリートの品質も大切で、設計基準強度21N/mm²以上のコンクリートを採用し、不同沈下を防ぐための一体化基礎を取り入れましょう。積雪地域では雪の荷重を考慮して、基礎サイズをさらに大きくする必要があります。

 

◎アンカーの選定と施工-確実な固定技術

アンカーは基礎とフレームを連結する要です。強風が想定される地域では耐震・耐風対応の高強度アンカーを選定する必要があります。特に化学アンカーは、コンクリート内部に樹脂を注入してアンカーボルトを固定するため、引抜き強度が高く、振動に対する抵抗性にも優れています。

アンカーの施工精度も耐風性能に直結するものです。垂直精度1/500以下を確保し、アンカーボルトの埋め込み深さはメーカー指定の最低基準よりも20%以上深くすると良いでしょう。定期的なトルクチェック(締め付け力の確認)と腐食検査を継続し、経年劣化による強度低下を防ぐメンテナンス計画も合わせて策定することが大事です。

 

 

◇耐候インク・ラミ・フィルムの選定基準

看板の耐久性を決定する要素はフレームや基礎だけではありません。表面を保護するインク、ラミネーション、フィルムの選定は、看板の美観維持と延命に直接的な影響を与えます。岐阜県の厳しい気候条件下では、これらの材料選びが特に重要となります。ここでは、強風・積雪・猛暑に耐えるための表面材料選定のポイントを詳しく解説します。

 

◎耐候性インクの選定-色褪せ防止と耐久性

看板の視認性を長期間維持するためには、耐候性インクの選定が有効です。岐阜の猛暑による紫外線と高温多湿の環境下では、一般的なインクでは短期間で色褪せや剥離が生じます。特にUVインクソルベントインクは、紫外線に対する耐性が高く、3~5年程度の色保持が期待できます。

インク選定の基準として、JIS規格の耐光性レベルを参考にすると良いでしょう。屋外看板ではレベル4以上が推奨され、赤色系のインクは特に褪色しやすいため注意が必要です。また、インクの定着性も確認ポイントです。プライマー処理を施すと素材への密着性が向上し、剥離リスクを軽減することが可能です。

 

◎ラミネーション処理-表面保護の要

ラミネーション処理は、印刷層を物理的・化学的損傷から保護するための工程です。紫外線カット機能耐スクラッチ性を兼ね備えたラミネーションフィルムが岐阜県内の気候には理想的です。光沢タイプは視認性が高く、マットタイプは反射が少ないという特徴があるので、日照条件に応じて選択しましょう。

ラミネーションの厚みも耐久性に直結する要素。一般的な屋外看板では厚さ100~150μmのフィルムが推奨ですが、積雪地域では氷粒による損傷を防ぐため、より厚い200μm前後のフィルムを検討すべきでしょう。

 

◎基材フィルムの選定-素材特性の理解

看板の基材となるフィルムの選定は、耐久性の基礎を決定するものです。PVC(塩化ビニル)フィルムはコストパフォーマンスに優れますが、高温環境では可塑剤の蒸散による劣化が懸念されます。一方、ポリエステルフィルムは耐候性に優れ、温度変化による伸縮が少ないという強みがあります。

過酷な環境では、複合材フィルムエンジニアリングプラスチックの検討も必要でしょう。これらの材料は初期コストは高いものの、耐候性試験で長期間の耐久性が確認されているものもあります。選定時には、メーカーの試験データを確認し、岐阜の気候条件に類似した環境での評価結果を参考にすることが望ましいです。

 

 

◇まとめ

岐阜県の気候は地域によって大きく異なります。南部では猛暑、北部では積雪、そして県内全域で強風のリスクもあります。看板を長持ちさせ、効果を維持するには、設置場所の気候特性を理解し、それに対応した適切な素材と構造を選択しましょう。ワンズプランニングでは、岐阜県内の気候に合わせた看板設置が可能ですので、お気軽にご相談ください。