
円安を追い風にした訪日観光の復調で、岐阜県内の観光地——郡上八幡、下呂温泉、白川郷、恵那峡など——には海外からのゲストが再び戻ってきています。加えて、名古屋や関西からの日帰り旅行者が立ち寄る商店街でも、外国人客の来店機会は増加中。そんな中、店頭の看板が日本語表記だけだと、興味を持った外国人客の一歩目を止めてしまうことがあります。この記事では、多言語看板を設計する際の言語選定の優先順位、文化差を踏まえたピクトグラム活用、QRコードによる情報密度の分散——インバウンド集客につながる3つの実務ポイントを、岐阜県内の事例も交えて解説します。観光地に近い店舗や、外国人客が増えてきた商店街のオーナー向けの内容です。
◇併記する言語の優先順位と選定
世界には数千の言語があり、すべてに対応するのは現実的ではありません。訪日客の国籍構成と滞在場所から、優先順位を決めます。
◎英語は必須、その先は地域と業態で判断
英語は「読める人の絶対数」で他言語を大きく引き離す、事実上の共通語です。
* 訪日外客の多くが英語圏または英語読解可能:
まず英語併記が最優先の判断となります。
* 空港・駅・観光案内所の標準:
英語は日本国内の公共サインでも標準採用されているため、来訪ルート全体で連続性が保たれます。
* 見出し翻訳の徹底:
メニュー名・店舗名・営業時間は最低限すべて英語併記する方針が実務標準です。
◎観光地なら中国語・韓国語も併記
訪日客数の上位を占める国からの言語も検討します。
* 中国語(繁体字・簡体字):
台湾・香港と中国大陸で表記が異なるため、両方対応が理想的です。
* 韓国語:
ソウル・釜山からの直行便が名古屋・関西にあり、岐阜観光地にも来訪があります。
* 商店街ならタイ語・ベトナム語も検討:
東南アジア市場も存在感を増しており、業態次第で優先順位を上げます。
◎併記時のレイアウトルール
複数言語を並べる時は、視認性のバランスが集客結果を左右する設計要素になります。
* 日本語を最上段:
地元客が第一の顧客なので、まず日本語を主役に配置します。
* 英語は日本語の8割サイズ:
日本語の下または横に、少し小さく配置します。
* 他言語は英語のさらに8割サイズ:
層構造で情報の優先度を視覚化します。

◇文化差を踏まえたピクトグラム活用
言語対応が難しい情報は、ピクトグラム(絵記号)で伝える方が効率的です。ただし文化差には注意が求められます。
◎国際標準のピクトグラムを優先
経済産業省・国際規格ISOの標準ピクトグラムは、世界的に判読可能な設計になっています。
* トイレ・出入口・レジ:
JIS Z 8210に準拠した公式ピクトグラムを使用します。
* 車椅子・ベビーカー対応:
バリアフリー系のピクトグラムも国際規格が確立しています。
* Wi-Fi・充電・両替:
観光客のニーズが高い機能はピクトグラムで示す価値があります。
◎文化差に注意が必要な表現
日本国内では通じるが、海外では意味が異なるピクトグラムもあります。
* 手のポーズ:
親指立ての「いいね」は一部地域で侮辱的な意味を持つため、使用を避けます。
* 動物モチーフ:
豚は宗教的に忌避される地域があるため、飲食店の表示は業態と客層で検討します。
* ジェスチャー・表情:
カジュアルなイラストは避け、シンプルな線図で伝える方針が無難です。
◎ハラル・ヴィーガン対応の表示
食習慣に関わる情報は、ピクトグラム+テキストの併記が確実です。
* ハラル認証マーク:
認証を取得している場合はロゴを掲示、未取得ならピクトグラムのみで表示します。
* ヴィーガン・ベジタリアン対応:
植物ベースのアイコン+英語表記が観光地標準として定着しています。
* アレルギー表示:
卵・乳・小麦などのアイコン+日英併記が観光地標準になっています。
◇QRコードによる情報密度の分散
看板1枚に情報を詰め込むと、どの言語で見ても読みにくくなります。詳細情報はQRコード経由で提供する設計が主流です。
◎メニュー・料金表はQRコード経由
詳細情報はスマホで自国語で読める仕組みにすると、看板デザインもすっきり保てます。
* Google翻訳連動のメニューページ:
QRコードで自動翻訳ページに誘導する設計が広く採用されています。
* 多言語対応の店舗紹介ページ:
営業時間・アクセス・支払方法をまとめて閲覧できるページを用意します。
* 決済方法の一覧:
Alipay・WeChat Pay・タッチ決済の対応可否をQR先で明示します。
◎QRコード設置時の注意点
QRコードを看板に載せる場合の実務上のポイントを整理します。
* サイズは最小5cm四方:
スマホカメラが1〜2m離れて読み取れるサイズを確保します。
* 明るい場所への配置:
反射しにくいマット素材や、逆光を避けた設置位置を選びます。
* 定期的なリンク先の更新:
営業時間変更・メニュー改定時にQR先も同期して更新します。
◎多言語対応の効果測定
多言語看板の導入後は、実際の集客効果を数値で確認します。
* 外国人客の来店比率変化:
レジ横に簡易カウンターを置いて計測する店舗もあります。
* QRコードのアクセス解析:
QR先のページビュー数で、看板からの誘導効果を追跡できます。
* Googleレビューの外国語コメント数:
レビュー内の言語比率で認知拡大を測る指標になります。
◇まとめ
多言語看板は「言語を増やす」だけでなく、「情報を絞ってピクトグラムとQRで補う」設計が集客に直結します。優先すべきは英語+観光地なら中国語・韓国語、レイアウトは日本語を主役に他言語を8割サイズで層化、詳細情報はQRコード経由で自国語対応、ピクトグラムは国際標準を優先しつつ文化差に配慮——この4つを設計軸にすると、日本語話者の視認性を落とさずに外国人客の一歩目を後押しできます。訪日客の増加と地元客の維持を両立できるのが、正しく設計された多言語看板の強みです。
観光地・商店街への出店や、既存店舗のインバウンド対応リニューアルをご検討中の方は、岐阜県可児市のかんばん製作のワンズにお気軽にご相談ください。ターゲットとする訪日客層のヒアリングから、優先言語の選定、QRコード連動ページの設計まで、多言語看板の一連の流れをサポートします。






