服装や車など世の中にある様々な商品のデザインは、特定の年代や属性をターゲットとして作成されていることがほとんどです。看板のデザインも同様に、店舗や事業所の顧客層に合わせたデザインにする必要があります。その中でも、トレンドに敏感な若年層に向けたデザインは時代の流れに適応し、最適化する必要があります。この記事では、若年層をターゲットとした看板デザインについて解説します。

 

◇若年層が魅力を感じるデザイン要素とは

現代の若年層、特にZ世代(1990年代後半から2000年代に生まれた世代)と呼ばれる人たちは、デジタルネイティブとして育ち、独自の価値観やトレンドが存在します。彼らの多くが魅力を感じるデザイン要素について、以下に詳しく解説します。

 

デジタルネイティブの視点

Z世代は、インターネットやスマートフォンがあって当たり前の環境で育ちました。そのため、デザインにおいてもデジタル要素を取り入れる事で情報を届けやすくなります。例えば、デジタルサイネージを用いたインタラクティブな看板や、SNSでシェアしやすいビジュアルコンテンツが好まれる傾向にあります。

 

多様性と共感性

Z世代は、多様性を尊重し、自分らしさを表現することを大切にします。そのため、デザインにおいても古い考えにとらわれず、多様な価値観や文化を反映したものが求められます。また、共感を呼ぶストーリー性のあるデザインも人気です。

 

ノスタルジーとレトロ

最近のトレンドとして、ミニスカートや厚底ブーツといったY2Kファッション(2000年代のファッション)、平成レトロや昭和レトロなど、過去のスタイルを取り入れたデザインがZ世代に人気です。懐かしさと新しさを兼ね備えており、エモーショナルな反応を引き起こしています。看板デザインにも懐古感を刺激する内容を検討してみてください。

 

エコロジーとサステナビリティ

Z世代は環境問題に対する教育を受けてきたので、エコロジーやサステナビリティへの関心は高いです。そのため、環境に配慮した素材や製品、持続可能性を意識したビジネスが好まれます。再生素材を使用したパッケージデザインや、エコフレンドリーなプロダクトを取り扱っている場合は、看板でPRしましょう。

 

インフルエンサーとのコラボレーション

Z世代はSNSを通じてインフルエンサーの影響を受けやすい傾向があります。そのため、人気のインフルエンサーとコラボレーションしたデザインやプロモーションには効果があります。インフルエンサーの写真やイラストを取り入れた看板や、デジタルサイネージでインフルエンサーが商品を紹介するようなアイデアが挙げられます。

 

 

◇SNS映えを意識した看板デザイン

近年、SNSの普及により、看板デザインも「映え」を意識することが重要になっています。若者世代は新聞やテレビのような既存の媒体よりもSNSから情報収集することが多いので、SNS映えする看板を製作することには意義があります。写真を撮りたくなるような魅力的なデザインに仕上げることができれば、自然とシェアされていき、宣伝効果が期待できるでしょう。以下に、SNS映えを意識した看板デザインのポイントを紹介します。

 

カラフルで目を引くデザイン

SNS映えする看板の基本は、カラフルで目立つデザインです。鮮やかな色使いやコントラストの強い配色を取り入れることで、多くの人の目に留まる写真映えする看板を作ることができます。特に、背景と文字の色の組み合わせを工夫することで、遠くからでも目を引くデザインにしましょう。

 

インスタグラムを意識したレイアウト

インスタグラムで人気のある写真の特徴を取り入れたレイアウトも効果的です。主題を大胆に配置しつつ余白を活かしたレイアウトや、ある世界観を徹底的に演出したデザインなどが挙げられます。また、ハッシュタグやQRコードを看板デザインに組み込むことで、SNSでのシェアを促進することができます。

 

ユニークなフォントとアイコン

看板に使用するフォントやアイコンも、SNS映えを意識したデザインの重要な要素です。ブランドのコンセプトに合わせたユニークで個性的なフォントを選ぶことで、看板全体の印象が大きく変わります。アイコンやイラストも競合とは全く異なる面白味のあるデザインに仕上げることが出来れば、視覚的なインパクトを与えることができます。

 

フォトスポットを意識した設計

看板自体がフォトスポットになるような設計も有効なアイデアの一つです。例えば、看板の前に立って写真を撮ると面白い効果が得られるようなデザインや、雑誌のモデル撮影の背景のような、思わず撮影したくなるデザインにすることがポイントです。これにより、訪れた人々に自然と拡散されていく看板を作ることができます。

 

季節感やトレンドを取り入れる

季節感やトレンドを取り入れたデザインも、SNS映えする看板には欠かせないものです。季節ごとのイベントや流行を反映させて更新を続けることで、飽きられず常に新鮮で話題性のある看板を提供することができます。春には桜のモチーフを、夏には海や花火のデザインなどが代表的です。

 

 

◇ポップカルチャーを取り入れた看板の活用例

ポップカルチャーは若年層にとって非常に求心力の高いものです。デジタルネイティブとして育った彼らは、地上波のテレビよりもサブスクリプションの番組配信サイトでアニメやドラマ、音楽などのポップカルチャーを楽しんでいます。若者の目を引き、ブランドの認知度を高めるために、ポップカルチャーへの関心を利用することも検討しましょう。ここでは、ポップカルチャーを活用した看板の事例やその効果について紹介します。

 

アニメキャラクターとコラボした看板

アニメキャラクターは、若年層を中心に、日本国内外で幅広い年齢層に人気があります。特にアニメの舞台となり“聖地”と呼ばれるような場所では、実際にその場所にキャラクターがいるようなデザインを取り入れた看板が多く見られ、ファンから愛されています。地域によってはラッピングバスやタクシー、電車もあり、地域ぐるみの取り組みとして、アニメファンの注目を集め、店舗への来客を促進しています。

 

映画やドラマのシーンを再現する看板

映画やドラマの名場面を再現したデザインの看板は、視覚的にインパクトがあり、通行人の興味を引きます。例えば、誰もが知る映画『スター・ウォーズ』のライトセーバーを持ったキャラクターが描かれた看板は、ファンの心も掴みやすく、写真撮影スポットとしても人気です。ただし著作権や許可には注意する必要があります。

 

人気の音楽アーティストとのコラボレーション

人気のある音楽アーティストとのコラボレーション看板は、トレンドに敏感な若年層に効果的です。アーティストのアルバムリリースなど、注目の高まるタイミングに合わせて看板を展開することで、ファンの関心を引き、SNSでのシェアを促進します。これにより、自然な形での宣伝効果が期待できます。

 

ゲームキャラクターを使用した看板

ゲームキャラクターは、アニメと同様に、特に若い世代に強い影響力を持っています。例えば、人気ゲーム『ポケモン』のキャラクターを使用した看板は、子供から大人まで幅広い層にアピールできるでしょう。ゲームイベントや新作発売に合わせた看板は、関連する商品の売上向上にも寄与します。

 

コミックやマンガの引用

コミックやマンガのセリフを引用した看板は、親しみやすさとユーモアを兼ね備えています。人気マンガの名シーンのセリフの吹き出しを看板にデザインし、前に立つとそのセリフを自分が喋っているように見える看板などがアイデアとして挙げられます。ファンの共感を呼び、SNSでも拡散されやすいので、「私も撮影してみたい」と店舗への誘導効果が高まります。

 

 

◇まとめ

若い世代に店舗の情報を届けるには、既存の広告媒体とは異なる手段を検討する必要があります。インターネットやSNSでの拡散を意識したデザイン、若者に人気のポップカルチャーとのコラボなど、最新のトレンドを取り入れて、看板への注目度を高めましょう。これまでの固定観念にとらわれない、ユニークなデザインを目指してみて下さい。