新規開業者が看板の制作にあたって最も不安になる要素の一つが、費用の問題でしょう。設置する看板の種類や大きさ、使用する素材によって、かかる予算は大きく変動するものです。この記事では、看板の制作に必要なコストに焦点を当て、価格の決まり方や費用に対する考え方についてご紹介します。
◇看板の価格はどう決まる?主要な費用項目を解説
看板の制作を検討する際、予算の見積もりのタイミングで悩みをかかえる方は多いでしょう。「どうしてこんなに価格差があるのか?」「費用を抑えるにはどうすればいいのか?」という疑問を解消するため、ここでは看板の価格を構成する主要項目を、具体的な相場例とともに解説します。
看板の価格を左右する「材料費」
本体となる材料費は、看板の価格の基盤となる要素です。
- 材質ごとのコスト差
アクリル板は1㎡あたり15,000~20,000円、軽量で耐久性のあるアルミ複合板は10,000~20,000円程度が目安です。
高輝度なLED看板は他の素材と比較して初期費用が高く、素材に加え発光モジュールの数が価格を左右します。
- サイズと耐久性のバランス
大型看板は材料使用量が増えますが、厚みを増すとさらにコストが上昇します。
例えば、屋外看板では紫外線や雨に強い「ポリカーボネート」を選ぶケースが多いものの、アクリルより2〜3割ほど高くなります。
- 予算を抑えるコツ
大きすぎない「標準サイズ(例:1m×2m)」を選ぶ、中古材を活用する、シンプルな単色デザインにするなどの工夫で、材料費を最適化できます。
デザインと制作工程にかかる「加工費」
看板の「見た目」を決めるデザインの工程にも、技術や手間のコストが反映されます。
- デザイン設計の費用
既存のロゴを転用する場合は少額の場合も多いですが、オリジナルデザインの作成には10,000~50,000円かかるのが相場です。
複雑なグラデーションや立体感を出すデザインは、制作期間が通常の2倍以上かかることもあります。 - 印刷技術の選択肢
- UV印刷:フルカラー再現性が高く、1㎡あたり3,000~8,000円です。
- カッティングシート:シンプルな文字向きで、1文字あたり500~2,000円が相場です。
- 直接彫刻:高級感があるが、加工時間が長く10,000~30,000円ほどかかります。
- 特殊加工の追加費用
立体文字(1文字あたり3,000~10,000円)や、背面からの間接照明(50,000円~)など、オプションとして機能性やデザイン性を追求するほど費用は増加します。
設置場所が鍵を握る「設置・工事費」
看板の設置方法もコストを左右します。設置するための工事の難易度によって費用が大きく変わります。
- 設置方法による違い
- 壁面取付:足場が不要な場合、30,000~150,000円ほどです。
- 地上設置(ポール型):基礎工事が必要で100,000~300,000円が目安となります。
- 屋上看板:クレーン使用や足場設置費、高所作業手当が加わり300,000円~くらいかかります。
- 行政手続きの必要性
建築基準法や条例で「高さ3m超」「道路から一定距離内」の看板は許可申請が必要です。
申請代行費用は30,000~100,000円ほどかかります。無許可での設置は罰則のリスクがあるため要注意です。
- 工事費を抑える方法
既存の支柱を流用する、簡易型の据え置き看板を選ぶなどの工夫が有効です。
◇費用をかけても回収できる「価値ある看板」の条件
看板の設置費用の相場はお分かりいただけたと思います。そして高額な看板に対しては「こんなにお金かける必要ある?」と疑問に感じる方もいるでしょう。しかし、適切にコストをかけた看板は、集客効果も最大化でき、費用をかけてもそれ以上に回収できるようになる可能性があります。ここでは、そのような費用をかける価値のある看板に仕上げるための考え方について解説します。
「集客に直結する」視認性の確保
看板の効果は、「どれだけの人の目に触れるか」で決まります。視認性を確保するためにコストをかけることは、適切な投資と言えるでしょう。
- 人通り・車の流れを分析する
飲食店の場合、歩行者が立ち止まる「駅から3分圏内」や、車の速度が遅い「交差点付近」が最適です。良い立地の方が場所代は高くなりますが、お金を出す価値はあります。
- 視認性の高いデザインルール
- 文字サイズ:車から見える場合、1文字あたり10cm/10m(30m先からの視認性を確保するには30cm)の距離が目安になるので、コスト削減で小さくし過ぎないようにしましょう。
- 夜間対策:LED照明や反射シートで24時間アピールできるようにするのも、業態によっては必要です。
ターゲットに刺さる「心理的に訴えるデザイン」
看板は「一目で顧客の興味を引き、行動を促す」必要があります。
- 業種別の効果的なアプローチ
- 飲食店:コストが増えるとしても「食欲をそそる写真」や「営業時間/人気メニュー」の明記する価値があります。
- 医療機関:「安心感のあるブルー基調」や「駐車場あり」の強調は効果的です。
- A/Bテストのススメ
追加の費用をかけてデザイン案を2パターン作成し、SNSで投票するなど、客観的な反応を測る方法は効果的です。
長期的なコスト削減を見込める「耐久性と拡張性」
初期費用が高くても、10年単位で長く運用できれば、コストパフォーマンスは高くなり、費用を回収できる可能性が上がります。
- 素材・技術の進化を活用
- LED看板:電気代が安く、文字の変更も柔軟にすることができるので、更新費用は安く済みます。(例:イベントごとに表示を切り替え)
- アルミ複合板:さびに強く、汚れが付着しにくいため清掃費を削減できます。
- 拡張性の高い設計例
- 看板枠を大きく作っておくと、のちにパネル追加したくなった際に対応可能になります。
- スマート看板:デジタルサイネージで広告収入を得る仕組みを作るのも良いでしょう。
- 保証制度の確認
「5年保証」や「無料点検サービス」に対応した業者を選べば、災害等による突発費用を抑制できます。
◇見積書でチェックすべきポイントとは
看板の制作を業者に依頼する際、見積書の内容を正しく読み解くことは、予算管理やトラブル回避のために大切です。「同じ仕様なのに業者によってなぜか価格差が大きい」「後から追加費用が発生した」といった失敗を防ぐため、見積書で必ず確認すべきポイントを解説します。
内訳が明確か?「費用の透明性」を確認
曖昧な表現や全てが一括表示された見積書は、後々にトラブルとなるリスクを高めます。
- 項目ごとの詳細記載
- 例:
×「材料費:100,000円」では曖昧すぎます。
○「アクリル板(厚5mm・2㎡):50,000円/LEDモジュール(20個):50,000円」のように表記してもらいましょう。
- チェックすべき項目:素材単価と数量、加工方法
- 「一式」表示の危険性
「工事費一式:200,000円」のように範囲が不明確な場合、足場代や廃材処理費が別途請求される可能性がありますので注意しましょう。
- 相場比較の方法
複数業者から見積もりを取り、材料費や工事費の単価を比較するとリスクを減らせます。
例:アルミ看板の単価は1㎡あたり10,000~20,000円です。大幅に外れる場合は理由を聞いてみて下さい。
材料費と加工費の「妥当性」を検証
「高い技術」によってコストが上がっている場合と「不当な高額請求」の線引きを検討することが重要です。
- 素材単価の相場チェック
- アクリル板:1㎡あたり15,000~20,000円ほど。
- カッティングシート:1文字あたり500~2,000円です。
※特殊素材(防汚コーティングなど)は追加費用となりますので、相場を外れる際は根拠を確認して下さい。
- 加工技術の必要性を見極める
- 例:
「UV印刷(8,000円/㎡)」と提案されたが、屋内看板なら安価な「インクジェット印刷(3,000円/㎡)」で十分な場合もあるでしょう。
隠れ費用の可能性がある「工事関連項目」
看板は設置の段階で想定外の費用が発生しがちです。
- 工事費に含まれるもの
- 基礎工事・足場設置・電気配線・廃材処理など
- 高所作業手当(3m以上は+20%~)が追加でかかる場合も
- 追加費用が発生するケース
- 例:
「地面が想定より固く、掘削に時間がかかった」→ 工事日数増による人件費の追加
「許可申請に2週間かかる」→ 行政手続き代行費の発生 - 対策方法
「工事中のトラブル対応費用は誰が負担するか?」といった想定を契約前に明文化し、最大費用を「上限金額条項」で設定する交渉も検討の余地があります。
◇まとめ
集客効果の高い看板を制作するには、適切なコストをかけることも大切です。経営規模やブランドコンセプトを考慮しながら、費用をかけすぎず、削減しすぎないように意識しましょう。業者との打ち合わせでは、費用の透明化を重視し、後々トラブルにならないように見積もり内容をしっかりと確認しておくことが必要です。岐阜県や可児市での看板設置でかかる費用が気になったら、ぜひワンズプランニングにお声かけください。